高K血症の初期対応

心電図・心筋保護・GI療法・K除去・再評価

成人急性高K血症 / Evidence checked:2026-08-23

薬剤に関する注意: 記載する薬剤名、用量、投与方法は一般的な参考例です。実際の診療では、患者状態、使用製剤の電子添文・最新安全情報、各施設のプロトコルに基づいて判断してください。

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救急対応の全体像を確認するための保存用画像です。画像内の薬剤名・用量・投与方法は参考値であり、実際の診療では患者状態、電子添文・最新安全情報、各施設のプロトコルを優先してください。

高K血症の初期対応:初期評価、心筋保護、GI療法、K除去、再評価を示すClinical Pathway
薬剤・数値・判断基準は参考です。患者状態、最新情報、各施設基準を優先してください。

1分で確認

① 0〜5分|モニター・ECG・再採血

  • K ≥6.5 mmol/L、ECG変化、循環不安定 → 再採血を待たず治療
  • ABCDE、モニター、静脈路、12誘導ECG、K再検を同時に行う
  • 血糖、血液ガス、BUN・Cr、Ca・Mg、溶血を確認
  • 並行して、AKI / CKD・透析歴・尿量・原因薬・アシドーシス・偽性高Kを確認
  • K ≥6.5 mmol/L、ECG変化、または臨床的に不安定なら持続モニター

② ECG変化あり|カルチコール

  • カルチコール注射液8.5% 10 mL・5分で緩徐に静注
  • 持続ECG下で投与し、終了時に波形を再評価
  • 心毒性所見が残れば、初回開始から5〜10分を目安に追加投与を検討
  • カルシウムではKは下がらない

③ K ≥6.5|GI療法

  • 治療前血糖を確認
  • 50%ブドウ糖50 mL(25 g)+レギュラーインスリン10単位を5分かけて静注
  • 血糖 <126 mg/dL:初回GI後に10%ブドウ糖50 mL/時・5時間。インスリンは混注しない
  • 確実な静脈路で血管外漏出に注意。インスリンは単位で指示し、専用シリンジとダブルチェック

④ 同時に|排泄・透析

  • 尿量があり容量状態が許せば、ループ利尿薬を検討
  • ロケルマ10 g内服:海外指針ではK除去の補助選択肢。国内電子添文は「緊急の治療を要する高K血症には使用しない」とする
  • 維持透析患者でK ≥6.5 mmol/L:緊急透析を依頼
  • 乏尿・無尿、高度AKI、治療抵抗性、再上昇、肺水腫、組織崩壊では早期連絡
  • GI療法は一時的。原因治療とK除去治療を並行する

⑤ 治療後|再検・再評価

  • K: 治療後 1・2・4・6・24時間
  • 血糖: GI前、GI後 0.5・1・1.5・2・3・4・5・6時間
  • 不安定、ECG悪化、K再上昇では時刻を待たず再評価

ECGで危険を拾う

ECG変化は順番どおりに出ません。QRS延長、徐脈、接合部調律、P波消失、sine wave、心室性不整脈は高危険所見です。正常ECGでも重症高K血症は否定できません。

カルチコールの使い方

IVカルシウムは心筋を保護しますが、血清Kは下げません。投与後もK低下治療を続けます。

  • 持続ECG、確実な静脈路、血管外漏出への注意が必要
  • 投与終了時にECGを再評価し、残存・再発時は追加投与を検討

国内製剤では高K血症が適応外で、電子添文と救急ガイドラインの記載に乖離があります。施設手順と担当医のリスク・ベネフィット判断が必要です。

GI療法の使い方

GI療法は一時治療です。総体内K量は減らないため、K除去と再上昇への対応が必要です。

  • 国内実務書はレギュラーインスリン5〜10単位を示すが、重症例の代表例はUKKAの10単位とする
  • 5単位は低血糖を減らす可能性があるが、重症例でのK低下効果は未確立。低体重、高度腎機能障害、治療前血糖低値で減量する場合は施設プロトコルに従う
  • 国内実務書の5%ブドウ糖100 mL/時と、UKKAの10%ブドウ糖50 mL/時は、どちらもブドウ糖5 g/時。本記事では液量の少ない10%製剤を代表例とする
  • 著明な高血糖で初回ブドウ糖を省略・減量する基準は資料間で一致しない。施設手順に従い、省略時も血糖監視は続ける
  • 低血糖リスク:腎機能障害、低体重、高齢、非糖尿病、経口摂取不能、反復投与
  • 反復GIは自動的に行わず、1〜2時間のK、血糖、ECG、K除去・透析の進捗を再評価する。反復時は血糖監視を6時間を超えて延長する
  • β2刺激薬は補助療法。重症例で単独使用しない
  • 炭酸水素ナトリウムは通常の急性高K血症へルーチン使用しない

排泄と透析

  • 尿量があり容量状態が許せば、ループ利尿薬を検討
  • 乏尿・無尿、高度腎不全、循環不全では利尿薬だけに依存しない
  • UKKA 2023は、重症高K血症の緊急管理でジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム(ロケルマ)を推奨している
  • 一方、国内電子添文は、効果発現が緩徐なため緊急治療を要する高K血症には使用しないとする。国内の開始用量は1回10 g、1日3回、2日間(状態により最長3日間)
  • したがって、ロケルマ10 gは海外指針に基づくK除去の補助選択肢として示し、国内での使用は施設方針・専門医判断に従う。Ca、GI療法、透析を遅らせない
  • 10 g中に約0.8 gのナトリウムを含む。心不全、体液過剰、浮腫に注意し、経口タクロリムスなど特定の併用薬は前後2時間以上あける
  • 透析が必要になり得る場合は、内科治療の反応を待たず準備を始める

透析相談を急ぐ

  • 維持透析患者でK ≥6.5 mmol/L
  • 高K血症によるECG変化、徐脈、失神、ショック、不整脈
  • 内科治療に反応しない、または再上昇する
  • 乏尿・無尿、高度AKI / CKD
  • 肺水腫、重度代謝性アシドーシス
  • 横紋筋融解、腫瘍崩壊などK放出が続く

見落としやすい例外

偽性高K血症

溶血、長時間の駆血、強い吸引、握りこぶし、検体処理遅延、著明な白血球・血小板増多を確認します。再採血は行いますが、ECG変化や臨床的不安定があれば治療を遅らせません

DKA / HHS

血清Kが高くても総体内Kは欠乏し得ます。通常の高K血症手順を機械的に適用せず、DKA / HHSプロトコルに沿ってKを頻回に確認します。

心停止

脈拍のある患者と分けます。標準のALS / ACLSと国内蘇生手順を優先してください。AHA 2025とUKKA / RCUKでは、高K血症性心停止に対する薬物治療の推奨強度が異なります。

ジゴキシン中毒

腎機能悪化、消化器症状、徐脈、房室ブロック、不整脈を伴う場合は疑います。生命を脅かす中毒ではdigoxin-specific Fabの手配と専門家相談を優先します。

Pitfall

  • ECGが正常だから安全と判断する
  • IVカルシウムでKが下がったと思う
  • GI療法後の低血糖とK再上昇を見逃す
  • K吸着薬だけで急性期対応を終える
  • 透析相談を再上昇後まで待つ

参考文献

  1. 日本腎臓学会.CKD診療ガイド2024 第11章
  2. UK Kidney Association. Clinical Practice Guideline: Management of Hyperkalaemia in Adults. 2023.
  3. KDIGO. Acute hyperkalemia in the emergency department: conference summary.
  4. American Heart Association. 2025 Special Circumstances of Resuscitation.
  5. Jessen MK, et al. Pharmacological interventions for acute hyperkalaemia. Resuscitation. 2025.
  6. PMDA.カルチコール注射液8.5% 電子添文
  7. PMDA.ロケルマ懸濁用散分包5 g / 10 g 電子添文
  8. Peacock WF, et al. ENERGIZE. Acad Emerg Med. 2020.

詳細な根拠照合、製剤換算、ガイドライン差は編集用の医学レビュー記録に保存しています。

本記事は医療従事者向けの参考情報であり、個々の患者の診断・治療や施設プロトコルを代替するものではありません。

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この記事を書いた人

RenalNote編集部のアバター RenalNote編集部 内科医|RenalNote編集責任者

都内の総合病院に勤務する内科医。総合内科・腎臓内科での勤務経験をもとに、RenalNoteの記事企画・編集・医学レビューを担当しています。国内外のガイドラインと国内電子添文を照合し、臨床で素早く参照できる形に整理します。