心電図・心筋保護・GI療法・K除去・再評価
薬剤に関する注意: 記載する薬剤名、用量、投与方法は一般的な参考例です。実際の診療では、患者状態、使用製剤の電子添文・最新安全情報、各施設のプロトコルに基づいて判断してください。
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救急対応の全体像を確認するための保存用画像です。画像内の薬剤名・用量・投与方法は参考値であり、実際の診療では患者状態、電子添文・最新安全情報、各施設のプロトコルを優先してください。

1分で確認
① 0〜5分|モニター・ECG・再採血
- K ≥6.5 mmol/L、ECG変化、循環不安定 → 再採血を待たず治療
- ABCDE、モニター、静脈路、12誘導ECG、K再検を同時に行う
- 血糖、血液ガス、BUN・Cr、Ca・Mg、溶血を確認
- 並行して、AKI / CKD・透析歴・尿量・原因薬・アシドーシス・偽性高Kを確認
- K ≥6.5 mmol/L、ECG変化、または臨床的に不安定なら持続モニター
② ECG変化あり|カルチコール
- カルチコール注射液8.5% 10 mL・5分で緩徐に静注
- 持続ECG下で投与し、終了時に波形を再評価
- 心毒性所見が残れば、初回開始から5〜10分を目安に追加投与を検討
- カルシウムではKは下がらない
③ K ≥6.5|GI療法
- 治療前血糖を確認
- 50%ブドウ糖50 mL(25 g)+レギュラーインスリン10単位を5分かけて静注
- 血糖 <126 mg/dL:初回GI後に10%ブドウ糖50 mL/時・5時間。インスリンは混注しない
- 確実な静脈路で血管外漏出に注意。インスリンは単位で指示し、専用シリンジとダブルチェック
④ 同時に|排泄・透析
- 尿量があり容量状態が許せば、ループ利尿薬を検討
- ロケルマ10 g内服:海外指針ではK除去の補助選択肢。国内電子添文は「緊急の治療を要する高K血症には使用しない」とする
- 維持透析患者でK ≥6.5 mmol/L:緊急透析を依頼
- 乏尿・無尿、高度AKI、治療抵抗性、再上昇、肺水腫、組織崩壊では早期連絡
- GI療法は一時的。原因治療とK除去治療を並行する
⑤ 治療後|再検・再評価
- K: 治療後 1・2・4・6・24時間
- 血糖: GI前、GI後 0.5・1・1.5・2・3・4・5・6時間
- 不安定、ECG悪化、K再上昇では時刻を待たず再評価
ECGで危険を拾う
ECG変化は順番どおりに出ません。QRS延長、徐脈、接合部調律、P波消失、sine wave、心室性不整脈は高危険所見です。正常ECGでも重症高K血症は否定できません。
カルチコールの使い方
IVカルシウムは心筋を保護しますが、血清Kは下げません。投与後もK低下治療を続けます。
- 持続ECG、確実な静脈路、血管外漏出への注意が必要
- 投与終了時にECGを再評価し、残存・再発時は追加投与を検討
国内製剤では高K血症が適応外で、電子添文と救急ガイドラインの記載に乖離があります。施設手順と担当医のリスク・ベネフィット判断が必要です。
GI療法の使い方
GI療法は一時治療です。総体内K量は減らないため、K除去と再上昇への対応が必要です。
- 国内実務書はレギュラーインスリン5〜10単位を示すが、重症例の代表例はUKKAの10単位とする
- 5単位は低血糖を減らす可能性があるが、重症例でのK低下効果は未確立。低体重、高度腎機能障害、治療前血糖低値で減量する場合は施設プロトコルに従う
- 国内実務書の5%ブドウ糖100 mL/時と、UKKAの10%ブドウ糖50 mL/時は、どちらもブドウ糖5 g/時。本記事では液量の少ない10%製剤を代表例とする
- 著明な高血糖で初回ブドウ糖を省略・減量する基準は資料間で一致しない。施設手順に従い、省略時も血糖監視は続ける
- 低血糖リスク:腎機能障害、低体重、高齢、非糖尿病、経口摂取不能、反復投与
- 反復GIは自動的に行わず、1〜2時間のK、血糖、ECG、K除去・透析の進捗を再評価する。反復時は血糖監視を6時間を超えて延長する
- β2刺激薬は補助療法。重症例で単独使用しない
- 炭酸水素ナトリウムは通常の急性高K血症へルーチン使用しない
排泄と透析
- 尿量があり容量状態が許せば、ループ利尿薬を検討
- 乏尿・無尿、高度腎不全、循環不全では利尿薬だけに依存しない
- UKKA 2023は、重症高K血症の緊急管理でジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム(ロケルマ)を推奨している
- 一方、国内電子添文は、効果発現が緩徐なため緊急治療を要する高K血症には使用しないとする。国内の開始用量は1回10 g、1日3回、2日間(状態により最長3日間)
- したがって、ロケルマ10 gは海外指針に基づくK除去の補助選択肢として示し、国内での使用は施設方針・専門医判断に従う。Ca、GI療法、透析を遅らせない
- 10 g中に約0.8 gのナトリウムを含む。心不全、体液過剰、浮腫に注意し、経口タクロリムスなど特定の併用薬は前後2時間以上あける
- 透析が必要になり得る場合は、内科治療の反応を待たず準備を始める
透析相談を急ぐ
- 維持透析患者でK ≥6.5 mmol/L
- 高K血症によるECG変化、徐脈、失神、ショック、不整脈
- 内科治療に反応しない、または再上昇する
- 乏尿・無尿、高度AKI / CKD
- 肺水腫、重度代謝性アシドーシス
- 横紋筋融解、腫瘍崩壊などK放出が続く
見落としやすい例外
偽性高K血症
溶血、長時間の駆血、強い吸引、握りこぶし、検体処理遅延、著明な白血球・血小板増多を確認します。再採血は行いますが、ECG変化や臨床的不安定があれば治療を遅らせません。
DKA / HHS
血清Kが高くても総体内Kは欠乏し得ます。通常の高K血症手順を機械的に適用せず、DKA / HHSプロトコルに沿ってKを頻回に確認します。
心停止
脈拍のある患者と分けます。標準のALS / ACLSと国内蘇生手順を優先してください。AHA 2025とUKKA / RCUKでは、高K血症性心停止に対する薬物治療の推奨強度が異なります。
ジゴキシン中毒
腎機能悪化、消化器症状、徐脈、房室ブロック、不整脈を伴う場合は疑います。生命を脅かす中毒ではdigoxin-specific Fabの手配と専門家相談を優先します。
Pitfall
- ECGが正常だから安全と判断する
- IVカルシウムでKが下がったと思う
- GI療法後の低血糖とK再上昇を見逃す
- K吸着薬だけで急性期対応を終える
- 透析相談を再上昇後まで待つ
参考文献
- 日本腎臓学会.CKD診療ガイド2024 第11章
- UK Kidney Association. Clinical Practice Guideline: Management of Hyperkalaemia in Adults. 2023.
- KDIGO. Acute hyperkalemia in the emergency department: conference summary.
- American Heart Association. 2025 Special Circumstances of Resuscitation.
- Jessen MK, et al. Pharmacological interventions for acute hyperkalaemia. Resuscitation. 2025.
- PMDA.カルチコール注射液8.5% 電子添文
- PMDA.ロケルマ懸濁用散分包5 g / 10 g 電子添文
- Peacock WF, et al. ENERGIZE. Acad Emerg Med. 2020.
詳細な根拠照合、製剤換算、ガイドライン差は編集用の医学レビュー記録に保存しています。
本記事は医療従事者向けの参考情報であり、個々の患者の診断・治療や施設プロトコルを代替するものではありません。